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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第143号       ’02−06−28★

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     信用の問題

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●退屈することが嫌いで、

 

どこへ出るにも読みかけの本を抱えて歩く習慣ですが、その日は予測を

誤ってこれを怠り、思いがけず長く待たされてやむなく、そこ備え付け

の雑誌類をチェックして、

 

きわめて久しぶりに<暮らしの手帖>を手に取りました。 2002年

6・7月号。 いやあ懐かしい、あるいは、まあお変わりも無く、の感。

 

家電の世界に棲んでいた頃には毎号必ず目を通していた<手帖>ですが、

サーモスタット屋<卒業>後、何故か私のメニュから消えていました。

 

しばらくの間、家電的でない世界をウロウロしたせいもあるでしょうが、

問題解決技法の講師になってからは、問題提起専門誌?たる<手帖>を

思い出さなかったらおかしかった、、のにご無沙汰していたのが不思議。

 

多分、私の担当範囲では、企業の管理職さんたちとの会話で<手帖>が

話題に出たことが無かった、からかも知れません。 <家庭の管理者>

向けの雑誌ではあるが、<企業の管理職>用ではないから、、

 

どうやら私は意識せぬまま、目前の顧客に合わせるのが先、つい<営業

的読書>に陥っていたようです。

 

 

この号で目を惹かれたのは、<あなたは絶対に不正をしないと断言出来

ますか>という刺激的な見出し。 副題は<雪印食品・なぜ「悪い会社」

なのか>、筆者は小榑雅章氏。 こりゃ読まなくちゃ、、

 

アンケート調査は設問の仕方次第、何が真実か容易には判じかねるもの

ですが、ここで行なわれている質問は表題通りのズバリ。

 

どれもキビシイが、必ずしも問題を解明するための質問ではない、まあ

一般論。 とは言え、<絶対に不正をしないと断言>することなど、私

には出来ないなあ、戦後の<ヤミ市>を知る身としては、、

 

しかも質問した相手は<首都圏・関西の主婦1500人>。 得られた

回答は746、だったか丁度約半数。 回答者の企業体験の有無が注記

されてないので、現実的な答えと言えるかどうか、些か疑問あり。

 

現役の男性に訊けば、かなり違う結果になるだろう。 <職を失うわけ

には行かない>が前提では、拒むことなど出来ないのではあるまいか?

その点<主婦>は、理想的な答えを選ぶことが出来るでしょうから、、

 

*   *

 

組織に身を置いて報酬を受けるからには、<上>の指示や命令に従って

当然。 従わずカネだけもらう、なんてこと、憂き世の掟が許しません。

即ち基本的に、<従う>ことは<正しい>。

 

困るのは、その指示や命令が法的ないし倫理的に<不正>なものだった

場合。 それでも<従う>かどうか。 忠ならんとすれば孝ならず、、。

 

<不正>と知れば黙っていられない人はいるだろうが、どう具申しよう

と<上>が耳を貸すかどうか。 そもそもそんな指示を出す会社だから、

聴く耳も Rational な考えも、あるとは思えません。 むしろ忠誠度や

実行力が疑われ、トバされたり切られたり、、

 

  幸い私は職場で、反顧客反社会的<不正>な指示は受けずに済んだ

  が、<不具合>に気付いて(愛社精神で)具申しただけでも嫌われ、

  不本意にも切られたこと一再でない。 口は災いの、、 ですなあ。

 

で、具申するタイプはいなくさせられ、しないタイプが残り、、企業の

行動は<正しさ>準拠ではなくなる。 たとえ社の常識が世間の非常識

であろうとも盲従、シコシコやるっきゃない、、

 

と<手帖>に書いてあるわけではありません。 が、目先の経済的利益

を求めるあまり、世の多くはそんなもの。 非営利の官庁だって怪しい。

しかし天網恢々、<不正>はいずれ露見するだろう、当然、信用は失墜。

 

アンケートから導かれた結論: 「雪印食品は信用できない」に尽きる。

消費者に「ウソつき!」と突き放されれば、どんな実績があろうと一転、

立ち行かなくなる。 その現実を企業は知るべきだ、と。

 

結局会社が無くなるんだったら、敢えて具申して切られても、あるいは

見切って飛び出していても、まあ同じことでした。 誰かが、いや皆が

勇気を出して指示を拒んでいたら? と思わなくもないが、後の祭り。 

 

顧客の信頼を得るには時間もかかって容易でないが、得られなきゃ客は

着かない、商売は成り立たない。 その<信用>という、漠然と無形の、

従って財務諸表に載らない、ものが実は最重要の財産、、

 

*   *   *

 

しかし、<上>の指示で働くのが社員。 彼らの働きを<信用>に結び

付けるには、<正しい>指示が必要、、 だから<上>は、神のように

正しくなくてはならない、、 で、思い浮かんだのが

 

第15号に書いた<経営者育成ハンドブック>冒頭の主張、<神性>。

やはり経営者には<神性>が必要なんですな。 商売に損得勘定は大切

だが、その前に<正しい>かどうか吟味せにゃ、、

 

と言っても神様を引き合いに出すのは現実的でない。 せめて関連法規

や公序良俗といった通念的基準から、企業としての行動規準を編み出す

必要がある、、 (学生相手の説教みたい。 お許しあれ)

 

それが示せない人がトップ、では心寒いが、ホンネでそれを示せる人に

出会ったことは、私はほとんどありません。 マスコミ沙汰になった例

ほどでなくとも、<正しい>とは言えない程度のが結構ノサバッテいる。

 

国民の代表として身分を保障された国会議員や国民に奉仕すべき公務員

すら損得原理で動き、お手盛りを決め込む。 <正しい>わけあるまい。

 

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●余談ですが(と断るまでもない、

 

このメルマガの本質は余談そのもの)、長らくの習慣で、我が朝食の

1品目はマーマレードを載せた厚切り角チーズ、雪印<ファミリア>。

 

クリーミーで、私の味覚にピッタリ、、だったが困ったことに例の事件

以来、いつもの店が<雪印>を置かなくなり、よそを探し回るのも面倒。

 

代わりに棚のその場所を占めるようになったQBBに(失礼、やむなく)

変更。 ところが先頃、そこに雪印が帰って来た。 やれ嬉しや、、と

 

<ファミリア>に戻してアレレ? こんなはずじゃ? 前からこんなに

塩辛かったっけ? QBBの方がヘルシー、、で結局<ファミリア>は

客を一人失いました。 味覚は習慣のもの、そして習慣は改められる、、

 

 

顧客の獲得は容易でないが、失うのは簡単。 些細な理由でもサヨナラ

される。 まして留守してりゃ、よそへ行ってしまわれても仕方ない。

 

  サーモ屋時代、相棒N氏の楽しみは<放課後>、銀座の女性たちを

  コーチすること。 <レッスン1>「決して休むな、遅刻するな」。

 

  店に毎日必ずいる、それだけで客は(安心感で)着く、と。 実際

  それで何人かは<ママ>になりました。 <信用>とはそのように、

  地味に築くもの、なんですな。

 

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●しかし<上>も人間、

 

常に<正しい>判断を下せと迫っても無理でしょう。 判断を誤る場合

もあるだろうし、<正しい>と見てもらえない結果に終わることもある。

 

その時どうする? 自らの判断の<根拠>を説明する必要がありますな。

即ち<説明責任>を果たすこと。 辞めりゃ良い、というものではない。

 

判断を下した時点では何が MUST、WANT であったか。 どんな選択肢を

検討したか。 どんなマイナスを想定し、どんな対策を準備したか、、

 

と明らかにすれば、どこがまずかったかが歴然と分かり、あるいは異論

や非難を承るにしても、精神論に陥ることが防げ、陳謝するにも的外れ

にならず、対処の仕方も自ずと浮かび出る。

 

それらが迅速的確に行なわれれば、災い転じて福、見直されて<信用>

が高まるかも知れませんぞ。  Rational Process は説明責任遂行の

ツール、信用回復のツール、、  雪印も、研修受けてりゃなあ、、

 

  <秘書給与流用疑惑>について説明責任を全うしなかった前外相、

  さすがの<国民的人気>も翳りつつある。  おお、真紀子さん、

  所詮あなたも<日本人>でしたな、、

 

 

<正しい>指示に正しく従っても、ことが<上>の期待通りに運ばない、、

という時、<上>は感情の動物、いきなり担当者にカミナリを落とす。

 

私の経験でも、「お前さんとしたことが(とまでクスグッテ下さらなく

ても宜しいが)どうしたんだい?」、つまり「何故?」と訊いてくれた

理性的な<上>はいませんでしたねえ。

 

彼(彼女)ならする、出来ると信じたから、つまり<信用>して任せた

はず。 それが何故かしなかった、出来なかった、なら「どうして?」

と思うだろうと私は思うが、テキは思わないらしい。 

 

相当の理由があるんだろう? と訊いてはくれませんな。 やむを得ず

思い切って説明しかかると「弁解するな!」。 説明を受け容れる心の

余裕が無いんだ、<容量>不足なんだ、即ち<能力>不足、、

 

中でも<質問能力>の不足。 そのため、色々確かめた上で担当させる

べきを怠り、ただ「任せる」だけ。 <下>を信用していない<上>、

だから「やはりダメだったか、、」、だから「何故?」が無いんだな、、

 

*   *

 

上下間の信用も、相手の必要を的確に満たすことを積み重ねて生じます。

それは騙さないことであって、媚びることではありません。 そのため

常に、相手の必要が何か、見て取らなくてはならない。

 

それが見えなかったら、質問で引き出すのみ。 即ち、<質問能力>は

<信用>のもとです。 信用できないから質問する、ではなく、質問で

確かめるからこそ信用し合えるのです。 

 

もちろん、見て取るにも、質問するにも、Rational Process の順序で。

 

*   *   *

 

相手が<信用できない>にも拘わらず任せるほか無い、という場合には、

PPAで対策準備! これも Rational Process ですね。

                          ■竹島元一■

 

     ■今週の<私の写真集から>は、 ★藪萱草★

 

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